米食品医薬品局(FDA)は今月、トランス脂肪酸の原因となる油脂の使用を3年後に原則禁止することを決めた。大量に摂取すると心臓疾患などのリスクを高めるとされるトランス脂肪酸の削減が目的だ。トランス脂肪酸をめぐっては、世界保健機関(WHO)が10年以上前に減らすよう勧告しており、日本の食品メーカーでも削減対策が進んでいる。(平沢裕子)
摂取少ない日本
トランス脂肪酸は、不飽和脂肪酸と呼ばれる脂質の一種。植物油を加工して作るマーガリンやショートニング、それらを使ったパンやクッキー、スナック菓子、揚げ物などに多く含まれる。大量に摂取すると心筋梗塞など心血管疾患のリスクを高めるとされる。
2000年から02年の米国人1人当たりの1日摂取量は5・6グラム、総エネルギーの2・2%に上り、WHOは03年、1日当たりの摂取量を総エネルギーの1%未満に抑えるよう勧告した。
FDAは06年から加工食品のトランス脂肪酸の含有量表示を義務付けるなどの対策に乗り出し、消費量は03年から12年の間に約78%減少した。今回の決定はさらに削減を進めるためで、FDAは「冠動脈疾患を減らし、致命的な心臓病を年数千件減らせる」としている。