家族葬が広がりだしたのは15年ほど前。背景にあるのが、「高齢化」と「価値観の変化」だ。とりわけ高齢化は、葬儀の参列者の必然的な減少をもたらした。80歳以上の死亡者は昭和50年には全死亡者の25%程度だったが、最近では60%にまで増えている。高齢になって行動範囲が狭くなり、周囲との付き合いが減れば参列者も減る。さらに、親が高齢だと、子供も会社を定年退職しており、会社の元同僚、取引先には声をかけないケースが増えている。
公正取引委員会が葬祭業者を対象にした調査では、すでに平成17年の時点で、「参列者が減少した」との回答が67%もあった。
価値観も変化も家族葬の増加を後押ししている。日本消費者協会の26年の調査では、「費用をかけたくない」「家族だけで送ってほしい」という人が多いほか、従来の葬儀に対して「形式的になりすぎている」「もっと質素にしたほうがいい」と批判的にとらえる人が多くいるという回答が多かった。