【著者は語る】新聞記者・大野敏明氏「硯滴 大野敏明詩歌集」 (2/2ページ)

2015.10.3 05:00

 詩歌はだれの作品であれ、自己満足である。評価を期待してはいけない。しかし、それだからこそ、作者と読者が、時代を共有できるということは大きな意味がある。作者の懐かしさや思念は読者の懐かしさや思念とぶつかり響き合う。

 はさまれて歩むは被疑者冬の陽に手錠キラキラ反射してゐる(23歳)

 点滴のたゆまぬ音に眼を開けばシーツに揺らぐ液の陽炎(24歳)

 アトピーの吾子が腕掻くその腕を出勤われに大きく振りぬ(47歳)

 呆けたる母は笑へり吹く風に「気持ちいいね」と吾も笑へり(63歳)(2160円、フジサンケイビジネスアイ 日本工業新聞社)

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【プロフィル】大野敏明

 おおの・としあき 産経新聞編集委員。1951年東京生まれ。学習院大学法学部卒。防衛研究所一般課程修了。産経新聞社で社会部次長、特集部長、大阪本社文化部長、千葉総局長、東京本社編集長などを歴任。現在、亜細亜大学、国際医療福祉大学講師。元東京医科歯科大学講師、元拓殖大学客員教授。著書は「西郷隆盛の首を発見した男」「日本語と韓国語」(いずれも文春新書)、「切腹の日本史」(じっぴコンパクト新書)など多数。

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