厚労省によると、昨年の毒キノコによる食中毒の発生は24件で、患者数は85人。年間を通じて最も被害が多いのは、行楽シーズン真っ盛りの秋で、年間被害のほぼ大半が9月と10月に集中するという。
一方、キノコ自体は秋以外でも年中生えることから「常に油断はできない」と下原さんは話す。
名人泣かせ:見分けがつかない毒キノコ
ところで、カエンタケ以外にも、危険な毒キノコは多く存在する。下原さんがその筆頭に挙げるのが「名人泣かせ」の異名を持つ「クサウラベニタケ」だ。食用の「ウラベニホテイシメジ」とよく似ており、キノコの専門家でさえ、見分けるのは難しいという。
今年9月には、秋田や山形、広島、岡山などでクサウラベニタケの食中毒被害が発生。山に恵まれ、野生のキノコが豊富な長野県では、毎年9~10月、各市町村でキノコの鑑別相談窓口を開設。「きのこ衛生指導員」が鑑別するが、クサウラベニタケとウラベニホテイシメジを混在して持参するケースが多いといい、最も誤食の多い毒キノコの1つとされる。