東京・銀座をはじめ、ファッションの中心地から、大人の男性に向けた新しいスタイルを提案する動きが広がっている。百貨店では紳士向けのフロアの改装が相次ぐ。「上質」「こだわり」などをキーワードに“編集”された売り場は、「長く使える良い物を選びたい」という本物志向の男性のニーズに応えている。(戸谷真美、玉崎栄次)
客との対話を重視
10月に全面リニューアルした三越銀座店(東京都中央区)。新たなスタイルとして掲げるのは「銀座ジェントルマン」だ。
同店紳士営業部マネージャーの高嶋和博さんはそれを「自身の感覚で本物にこだわる男性」と定義。「銀座の男性客はビジネスマンが中心で、他人の目に自分の姿がどう映るかを意識して常にきちっとしていたいという特徴がある」
スーツを着れば身だしなみは整う。そこに、ここ数年、トレンドになっているストールを巻き、おしゃれの要素を一さじ加える。売り場には販売員を多く配置し、客との対話を通して、ニーズをきめ細かくくみ取った上で商品を提案する。
フロアは、ブランドごとのブースが並んだ従来の構成をやめ、仕切りの壁を取り払った。バイヤーが海外で直接買い付けた商品を中心にトータルコーディネートで提案し、客の買い回りのしやすさを重視した。改装から2カ月。売り場面積は2割縮小したが、売り上げは3割ほど伸びているという。