経団連は19日、経営側の平成28年春闘の指針となる「経営労働政策特別委員会(経労委)報告」を発表し、収益が拡大した企業に対し「27年を上回る年収ベースでの賃金引き上げについて前向きに踏み込んだ検討が望まれる」とする3年連続の賃上げを要請した。記者会見した経団連の工藤泰三副会長・経労委委員長は「人口減少下での経済好循環を目指すことを重視し、社会的要請を受け賃上げを要請する」と述べた。
昨年の経労委報告では、賃金体系全体を底上げするベースアップ(ベア)について「賃上げの選択肢の一つ」と前向きにとらえていた。今回は「月例賃金の一律的な水準引き上げ(全般的なベア)に限られず、さまざまな選択肢が考えられる」とし、賞与・一時金や家族手当などの各種手当のほか、少子化対策として子育て世代に重点配分することなど、多様な形態での年収アップを強調した。
同時に、力強い経済の実現に向けた名目国内総生産(GDP)3%成長への道筋も視野に入れながら、各社の収益に見合った積極的な対応が求められるとし、賃上げに加え、設備投資や研究開発投資、雇用の拡大なども求めた。