「ラップ」と名のつく投資が人気だ。自身の判断で取引する一般的な投資と異なり、証券会社や信託銀行に運用のすべてを一任するラップ口座の残高はここ数年右肩上がりで、昨年9月末時点で5兆円超。従来は富裕層向けだったラップ口座だが、300万円程度から始められる「ファンドラップ」の登場で、ハードルが下がった。ただ預貯金と違って、元本割れの可能性はある。特色を理解したうえで検討したい。(戸谷真美)
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ラップは英語の「wrap(包む)」の意。ラップ口座では、証券会社などの金融機関が、個人と一任契約を結んだ上で、その人の目的に沿って資産配分や投資する金融商品の選択、購入などを一括して代行する。平成16年の法改正で、個人向け口座が開設できるようになった。
その小口版ともいえるファンドラップは18年に最低預入額が1千万円のものが登場、翌年には300万円程度にまで引き下げられ、裾野が広がった。預かった資産の投資先を投資信託(ファンド)に限定することで、小口でも個人の要望に沿った運用を代行できるという。投信は、大勢の投資家から集めた資金を一つにまとめ、株式や債券など多様な金融商品に投資。その運用成果を、投資額に応じて分配するもの。ファンドラップは、投信での運用を個人がプロに任せられることが特色だ。