同省が23年に行った多機能トイレの使用実態調査(車いす使用者105人対象)では、52%がトイレを使用しようとして「待たされたことがよくある」と回答。「たまにある」(41%)を加えると、9割以上に上った。一方、多機能トイレの設置数が「十分足りている」「十分とはいえないが足りている」との回答は計18%。対して「やや不足感がある」「とても不足している」は計75%だった。不適切な利用は、身障者がトイレを使いにくい状況に拍車を掛けることにつながる。
ノアールの熊篠さんは「身障者向けトイレを増やし、急を要する場合は、優先的に使えるよう整備してもらいたい」と訴える。国交省は、身障者が利用できる枠を確保するため、車いすが入れるスペースと手すりだけを設置するなど機能性を限定したトイレの増設を呼びかけている。
ただ、予算やスペースの問題から、普及しているとは言い難い。同省の担当者は「一般向けトイレを利用できる人は、多機能トイレの使用を控えてもらいたい。抜本的な対策はなく、地道にマナーを啓発していくしかない」と話す。