当然、全体で見れば、生産性指標である「時間当りの販売額」は低下していきます。消費者の便利さに応えようとするあまり、小売業は低賃金・低収益のスパイラルにはまっているといえるでしょう。
セイコーマートという、北海道を中心に店舗展開するコンビニエンスストアがあります。私も利用したことがありますが、高収益企業であるだけでなく、サービス産業生産性協議会が実施するJCSI(日本版顧客満足度指数)で、2014年まで4年連続でコンビニ部門トップを獲得するなど、利用者からも評判の高い会社です。
セイコーマートには、24時間営業の店舗もありますが、地域によっては夜12時か1時までの営業店も少なくありません。この会社に、小売業の生産性向上のヒントがあるように思います。
例えば、コンビニはセブンイレブンという名前の通り朝7時から夜11時までの営業に戻し、百貨店やスーパーは週1回店休日を設け、営業時間も短縮する。法律か業界全体で、これくらい思い切ったことを行わない限り、小売業の生産性は伸びず、低賃金構造は改善しないのではないでしょうか。
そのためには、便利さに慣れた我々消費者が、一定の不便さを受容しなければなりませんが。
(新経営サービス 常務取締役 人事戦略研究所所長 山口俊一=文)(PRESIDENT Online)