峯川医師は「以前は画像が不鮮明で先天的に唇の一部が裂けるなどする口唇口蓋裂の誤診もあった。今は心臓内部の構造まで確認できるほど分析精度も上がり、見分けられる病気の種類が増えた。病気があった場合、産後の治療計画が立てやすくなった」とメリットを説明する。
一方で「異常があった場合に結果を受け止める覚悟や正しい知識を持った妊婦さんは少ない」と指摘する。「先天性異常の中には命に関わらないものや治療可能なものもある。中絶するかどうかという厳しい選択を突然迫られることにならないよう、妊婦さんも心の準備をして臨んでほしい」と訴える。
体で感じて
胎児超音波検査の歴史に詳しく、「超音波診断と妊婦」などの著書がある兵庫医療大学看護学部の鈴井江三子教授(助産学)は「医療の現場でメリットとデメリットを含めた検査自体の説明が不足している。妊婦さんも病院任せで、命への捉え方が安易だ」と警鐘を鳴らす。