【著者は語る】東大名誉教授・姜尚中氏 『漱石のことば』 (1/3ページ)

2016.3.19 06:23

 ■「途上」を生きることが青春だと思えた

 私は、10代の頃の「残念な青春」を引きずりながら、自分探しを意識して漱石の作品に親しみ、六十過ぎまで来ました。漱石に出合って五十余年、<結局人生ってわからない、謎だ。生きるって、その謎解きのことかもしれない>の心境が分かるようになりました。

 私をここまで生かしてくれた漱石の言葉は、時代を超えて今なおわれわれ現代人に深い知恵をもたらしてくれます。それは、漱石が繁栄と成長を求め続けた近代日本の絶頂期に、いちばん初めに「憑(つ)き物」が落ちてしまった希有(けう)な作家であり、知識人だったから。

 例えば、日露戦争から3年後の1908(明治41)年作の『三四郎』で、広田先生に「日本は亡びるね」と言わせるなど、時代に対して絶妙な距離感とさじ加減を持っています。さらに『こころ』の先生、『それから』の代助、『彼岸過迄』の須永などの高等遊民が多く登場しますが、別段お金に無頓着なわけではなく、お金は重要な要素。『それから』などは、「金」か「愛」かの究極の選択を描いています。

具合はいかかですかと聞かれると「病気は継続中です」と答えています。つまり…

産経デジタルサービス

産経アプリスタ

アプリやスマホの情報・レビューが満載。オススメアプリやiPhone・Androidの使いこなし術も楽しめます。

産経オンライン英会話

90%以上の受講生が継続。ISO認証取得で安心品質のマンツーマン英会話が毎日受講できて月5980円!《体験2回無料》

サイクリスト

ツール・ド・フランスから自転車通勤、ロードバイク試乗記まで、サイクリングのあらゆる楽しみを届けます。

ソナエ

自分らしく人生を仕上げる終活情報を提供。お墓のご相談には「産経ソナエ終活センター」が親身に対応します。