経営していたIT会社が不況のあおりで20年に廃業。離婚して川崎市内のアパートで1人暮らし。再就職の意欲も体力もあったが、就活した20社ほどの企業は年齢を理由に全滅だった。短期アルバイトと生活保護で食いつなぐ毎日。「自分の力ではどうにもならない…」と諦めかけたとき、市のケースワーカーの斡(あっ)旋(せん)で同社を紹介された。
当初はアルバイトだったが、正社員となった現在は、障害者らにビジネスマナーを教える就業支援を任されている。経営経験を見込まれての抜擢(ばってき)だった。
沖山さんは、採用から2カ月後、生活保護から“卒業”した。「居場所と役割が与えられた。働くことで、自分は社会とつながっている」
生活保護
生活困窮者に必要な保護を行い、健康で文化的な最低限度の生活を保障し自立を助長する。予算は国が4分の3を、残りを自治体が負担する。都道府県は国からの委託を受け、政令市を除く市町村で適切な支給が行われているかを監査し、不適切な支給があれば、是正指導する。受給者にも支出の節約義務がある。
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平均寿命が80歳を超える世界一の長寿大国、日本。貧困や孤独、現役世代との対立など超高齢化に伴う問題が深刻化している。シニアが長い「余生」をどのように生き、人口減の社会にどう活用していくか-。「にっぽん再構築」第2部で考えたい。