実は乗ってきたタクシーの冷房があまりにもきつくて、そのことをお断りしたうえであえて温かい紅茶をお願いしたのですが、どうも従前からある仏料理のテーブルマナーに固執されていたようでした。本当に大切なことは、ゲストの状況を察して、フレキシブルに対応することであり、それが本当の意味での“おもてなし”なのです。
茶道を学んで一目置かれる存在に
ビジネスと日常、どちらの場においてもマナーとは、相手に対するリスペクトの気持ちが表れたものだと私は考えています。ぽっと出てきた成金ではなく、何代も続いている富豪のことを米国では「オールドマネー」と呼んでいて、彼らは一般の方と会うときでも、決して尊大な態度は取らず、丁寧な言葉で話をします。本物のお金持ちになればなるほど、どんな人と接するときでも、相手の方に対するリスペクトを大切にしているわけです。
また、そうしたマナーは、人間関係をより強固なものにしていく原動力となり、ひいては自分自身の信用力アップにつながっていきます。そして「情けは人の為ならず」というように、初めから見返りを求めているわけでありませんが、やがて人と人との信頼関係の中からビジネスチャンスが生まれ、成功へと導いてくれるのです。オールドマネーの人たちは、そのことを肌身を通して知っているのです。