じつは公式の統計でも日本人の労働時間は先進国でも突出している。日本の法定労働時間は週40時間だが、49時間以上働いている労働者(週9時間、1カ月約40時間の残業)は23.1%。対してドイツは11.7%、イギリス11.6%。最も働いていると思われるアメリカでさえ15.4%(ILOSTAT Database2010年)にすぎない。
週60時間以上(20時間以上の残業)働いている男性雇用者の割合は9.1%(総務省「労働力調査」2012年)だ。フルタイムに近い週35時間以上の労働者に絞ると、12.6%に跳ね上がる。さらに働き盛りの30代では20%、40代は19.1%になる。月間の平均残業時間は86~87時間になるが、月80時間というのは、健康障害を引き起こして過労死してもおかしくないと国も認める「過労死ライン」だ。
長時間労働は日本企業にとって「合理的」
日本の長時間労働体質の根本的な原因はどこにあるのか。賃金・労働時間データを駆使し、日本人の労働時間を実証的に分析している慶應義塾大学商学部の山本勲教授は「日本的雇用慣行にある」と指摘する。