【IT風土記】沖縄発、“星の島”で動き出す新観光施策とは (2/3ページ)

中山義隆石垣市長
中山義隆石垣市長【拡大】

  • 翁長隼大・石垣市観光文化課観光推進班長
  • 港を中心に広がる石垣市街

 訪問客は海からもやってくる。台湾の北部に位置する基隆(キールン)港から週2回就航しているクルーズ船は石垣まで所用時間5~6時間の近さと低価格で人気を集めているし、台湾南部の高雄からのクルーズツアーもある。中国の厦門(アモイ)などを出港した海外大型客船の寄港も年々増えている。

アジアから一番近い日本

 「石垣市は1995年9月に台湾の東海岸に位置する蘇澳鎮(スオウチン)と姉妹都市提携を結んでいます」と、同市観光文化課の翁長隼大観光推進班長が教えてくれた。駐在員を置くなど長年地道な交流を続けてきたところに新空港の開港と石垣港の整備が加わって台湾の人の石垣熱に火をつけたようだ。

 中山義隆石垣市長は「石垣と台北間は約280キロで、那覇に行くより近い。海外のお客さんにとって石垣は一番近い日本だし、日本のお客さんにとってはアジアに一番近い外国の雰囲気がある国内なんです」と胸を張る。

 市長の願いは「エアラインで来て宿泊するお客さんを増やす」ことだ。訪問外国人客で圧倒的に多いのはクルーズ利用で飛行機の利用は1万人弱に留まっている。クルーズ客の石垣滞在は船が港に停泊する午前から夕方までの時間に限られており、市内のスーパーやドラッグストアを訪ねて果物や日用品などを買っていく人が多いという。「ただ買い物をするだけでなく、ここに泊まって3食食べてもらい、その間に近隣の島々も訪ねて文化や歴史を感じてもらいたい。そうすれば長期滞在やリピーター客につながる。その人達が八重山の良さをSNSなどで発信してくれれば次のお客さんを呼び込む好循環ができる」とみる。

八重山の盛衰は観光振興が握っている