「顧問業」シニア活用の新機軸に ベンチャー・中小からニーズ、定年後も活躍 (4/5ページ)

顧問サービスを手掛けるサイエストが開いた勉強会。顧問同士の情報交換や質の向上に向け定期的に開催している=東京都港区(同社提供)
顧問サービスを手掛けるサイエストが開いた勉強会。顧問同士の情報交換や質の向上に向け定期的に開催している=東京都港区(同社提供)【拡大】

 ■経験・能力の生かし方 企業・個人の課題

 顧問の起用で飛躍的な成長をみせるベンチャー企業も出てきた。北海道産の材料にこだわった「焼きたてチーズタルト」で人気となった製菓の「BAKE(ベイク)」(東京都目黒区)だ。同社は設立からわずか3年だが、2017年6月期の売上高は前期比2倍以上の90億円を見込む。急成長の背景には海外事業の拡大がある。昨年8月から香港、タイ、韓国、シンガポールと、約1年で立て続けに6カ国地域に支店を展開した。

 「海外進出にリスクなどない。行かないことがリスクだ」-。当初、現地リサーチに時間をかけるつもりだった海外事業の背中を押したのは、支援を依頼した「顧問」の存在だった。

 この顧問の男性(56)はエンターテインメント産業で米国法人社長を務めるなど、海外フランチャイズビジネスに精通していた。「海外戦略のみならず採用や人材育成まで、組織のつくり方から教わっている」と、ベイクの印牧正貴海外事業部長は信頼を寄せる。

 シニアの働き方については、高年齢者雇用安定法の改正で、13年4月から従業員が希望すれば原則、65歳まで雇用することが企業に義務付けられることになった。厚生年金の受給開始年齢の引き上げに伴う措置だ。ただ、業績の振るわない企業などにとって、雇用延長による負担増は重い。