「悪性腫瘍って何ですか?」 がん宣告に涙…子供へどう伝える?仕事どうする? (4/4ページ)

バーベキューの帰り道に記念撮影する西口洋平さん(右)と長女の倖さん=平成27年夏、東京都江東区(西口さん提供)
バーベキューの帰り道に記念撮影する西口洋平さん(右)と長女の倖さん=平成27年夏、東京都江東区(西口さん提供)【拡大】

 仕事から早く帰宅できた日や休日は、倖さんとショッピングセンターや公園へ出かける。自宅では西口さんと倖さんがふざけ合い、その様子を明子さんが見守る。「何をするかというよりも、一緒に過ごす時間が大事」。そう考えている。

 倖さんにはまだ、がんのことを伝えられずにいる。「お父さんがいなくなったらどうする?」。2人で風呂に入ったとき、何げなく問いかけたことがある。すると倖さんは「地図を描いておくよ。駅から家までの地図」と無邪気に答えた。

 キャンサーペアレンツでも子供との接し方についての発信が多い。倖さんへの伝え方は、まだ模索中だ。

  

 厚生労働省が平成26年にまとめた推計によると、22年時点で働きながらがん治療をしていた人は約32万5千人。生存率の向上で社会で活躍するがん患者が増える中、内閣府が26年に行った「がん対策に関する世論調査」では、がんで通院しながら働き続けられる環境だと思うかという設問に対し、「そう思わない」「どちらかといえばそう思わない」との回答が65・7%に上っている。

 こうした状況を受け、厚労省は今年2月、両立を支援する企業向けガイドライン(指針)を公表した。指針では、仕事を優先して適切な治療を受けられなかったり、職場の理解や支援体制が不十分なことにより退職するケースがあると指摘。患者の情報を企業と主治医が共有した上で、勤務を継続できるかを判断し、働き続ける場合は休暇や勤務時間などに配慮するよう求めている。(小林佳恵)