■組織の中で生きていく術を心得ている
部下をいじりながらも、「いじめ」はしない。その使い分けを出世する上司は心得えている。自分が損をすることはしないのだ。さらには、職場の空気や世論を察知したり、担当役員や社長の意向を素早く見抜く。そして、それにふさわしい行動をとる。つまり、部下をいじる上司は、会社員が組織の中で生きていく術を心得ている。一方で、「いじめ」を行ない、労働組合などに話をもっていかれる上司は、その意味ではわかっていない。
■嘘をついている自覚がない
部下をいじる上司は、反抗的な部下のことを誇張して、担当役員や社長に伝える。「自分には手に負えない」などと言い、同情してもらえるようにする。職場の問題も、都合のいいように加工して報告をする。管理職としてのマネジメント力が足りないとは、決して認めない。「反抗的な部下が、チームを乱す」、「協調性のない部下がいるから、和を乱される」とレトリックを使う。部下をいじる管理職は、嘘で塗り固めたことを口にしても、悪びれたものがない。むしろ、嘘をつくほどにエスカレートする。自分でも、どこまでが「事実」で、どこからが「フィクション」であるのか、わからなくなっている。