ブラック企業が最も恐れる「かとく」とは…電通に立ち入り調査、過去にABCマートも送検 (1/2ページ)

立ち入り調査を終えて電通本社を後にする厚労省の職員ら=10月14日、東京都港区
立ち入り調査を終えて電通本社を後にする厚労省の職員ら=10月14日、東京都港区【拡大】

 東大卒の新入社員、高橋まつりさん=当時(24)=を自殺に追い込んだ広告大手代理店の電通に、厚生労働省の「過重労働撲滅特別対策班」(通称・かとく)が立ち入り調査を断行した。かとくは、いわゆる「ブラック企業」対策として設けられた特別なチーム。長時間労働が美徳だった時代は既に終わった。かとくの狙いは、是正勧告を受けても改善しなかった電通に“鉄槌(てっつい)”を食らわせるとともに、この問題を契機に「長時間労働は犯罪だ」という認識を広めることだ。

 目を光らせる7人の精鋭

 黄色い腕章を付けたスーツ姿の男女が、電通本社ビル(東京都港区)にさっそうと乗り込んでいった。14日、昨年12月の高橋さんの自殺を受けて、長時間労働が常態化しているとみた厚労省は、電通にかとくを送り込んだ。

 かつては東京地検特捜部による家宅捜索が新聞やテレビなどで大きく取り上げられたが、最近は検察も元気がない。

 かとくは従業員を酷使する悪質な「ブラック企業」が問題となっていた昨年4月に創設された。東京労働局と大阪労働局に置かれており、東京では監督課長をトップに7人のベテラン労働基準監督官がメンバーに任命されている。そのほか地方の労働局には「過重労働特別監督監理官」が各1人、計47人おり、連携して調査に当たっている。

 電通は沖縄から北海道まで支社や子会社を抱えており、各地の労働局の監督官が一斉に立ち入り調査を行って、全社的な実態解明に乗り出している。

 かとくのメンバーは労基署が行う通常の業務を行わず、違法な長時間労働が疑われる事業所への監督指導に専従している。主なターゲットは、全国展開する大企業だ。

 過去には「ABCマート」がターゲット

 かとくが初めて立件したのは、靴販売店「ABCマート」を全国展開する運営会社販売チェーンの「エービーシー・マート」。東京都内2店舗で横行していた100時間を超える残業について、労基法違反の疑いで、東京地検に書類送検した。

 さらに今年1月、大手ディスカウント店「ドン・キホーテ」の違法残業も刑事事件化した。そのほか、外食チェーン店も含めて、かとくの書類送検事案は発足後、4件に上る。

労働基準法では、「1日8時間、週40時間」が労働時間の限度になる