高額薬の象徴、オプジーボをめぐる中医協の議論は今のところ、「値段」の話に終始している。だが、議論すべきは高齢化社会で医療費が増大する中、何を医療保険でまかなうかだ。
今回の緊急措置により、高額化する新薬の価格に一定の歯止めがかかる可能性はある。しかし、今後も長期的な薬価高騰は続くだろう。16日の中医協では日本医師会の中川俊男委員から「オプジーボや競合薬のキイトルーダは、従来の薬と併用すると効果が上がるとされている。そうすると薬剤費が増える」と新たな懸念も出された。
国の審議会などでこの問題について繰り返し発言している日本赤十字社医療センター化学療法科の国頭(くにとう)英夫部長は「今、皆に(高額薬を)使おうということは、次の世代を捨てることだ」と警鐘を鳴らす。
厚生労働省はオプジーボを使う医療機関や患者を絞り込むガイドライン作成を進めるが、高齢化が進むなか、国民皆保険制度でどこまでの医療をカバーするかなど本質的な議論はされていない。オプジーボの価格引き下げで問題を終わらせてはならない。(道丸摩耶)