父親にも「産後うつ」 2割近くも
最近の研究では、産後の母親が精神的に不安定になるのと同じように、父親にも「産後うつ」が起こることが明らかになっている。国立成育医療研究センターなどが父親のメンタルヘルスについて行った調査によると、妻の産後3カ月までの間にうつ傾向を示した男性は16・7%に。同センター政策開発研究室長の竹原健二さん(36)は「父親が家事や育児に積極的に参加するようになったために生じた新しい問題」と説明する。
竹原さんによると、母親に対しては国の母子保健向上に向けた施策「健やか親子21」でも産後うつの割合を減らすことが課題として挙げられているが、父親に対しては、産後うつが起こりうるということは十分に認識されていなかった。しかし、そもそも中年男性はうつになるリスクが高い。その上、仕事の負担が大きいため、家事・育児との両立が難しい状況の中で、やることが多すぎて気持ちが持たず、精神的に参ってしまうのだという。
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父親がうつ状態になることは、母親や子供にとっても危機的な状況を招く。「母親は本来夫から受けられるサポートが受けられなくなります。夫婦の一方のメンタルヘルスが悪くなると、もう一方もメンタルヘルス不調になるリスクが高くなりますし、夫が働けなくなれば将来の収入の心配も生じてきます」と竹原さんはいう。