東京大学が初の推薦入試、結果は?
2016年に東京大は後期試験を廃止し、初めて推薦入試を実施した。募集人員は100人程度で志願者は173人、合格者は77人だった。募集は学部単位で、一般入試のような文科I類、II類などという枠ではない。法学部、医学部など学部別の募集だ。定員割れのように見えるが、志願者数から考えれば定員通りに合格者数を出すこともできたはずだ。合格基準に達しない受験生は不合格にしたということだ。不足分は一般入試の募集人員に加算された。科学オリンピックのメダリスト、高校生の時に書いた論文が賞を受賞するなど、出願のハードルは高かった。さらにセンター試験で8割が必要だ。「各学部が満足のいく選抜で、推薦入試は成功だった」と東京大では分析している。
東京大が推薦入試実施に踏み切った一因は、関東ローカル化の進行にある。16年の首都圏からの合格者が全体に占める割合は55.2%。10年前には44.8%だから、大きく関東ローカル化が進んでいることが分かる。ところが、推薦入試では東京大の狙い通り55.8%が関東地方外からの合格者だった。
もうひとつの狙いであった女子の合格者増加も、推薦入試では全合格者に占める女子の割合は37.7%で、一般入試はというと18.4%。地方、女子の合格者増加は、推薦入試では達成できたことになり、東大が成功というのもうなずけよう。