全ての授業を英語で行い、1年間の海外留学を義務づけるなどユニークな少人数教育で知られる国際教養大(AIU、秋田市雄和椿川)の鈴木典比古学長(71)が産経新聞のインタビューに応じ、今後3~5年をかけて自然科学分野を拡充する方針を示した。国際教育を提供する大学が増える中、差別化を図るため、柱とするリベラルアーツ(一般教養)課程を人文、社会の科学分野と併せて欧米の有力大学並みに拡充する。(藤沢志穂子)
4月で設立13周年を迎えるAIU。第2代の学長である鈴木氏は、自然科学分野を拡充する狙いを大ヒットしたスマートフォン向けゲーム「ポケモンGO」を例に取って解説する。
「現代はクリック一つで世界的な規模の交流が瞬時に全世代に広がり、満足や価値が得られるGIIS(世界同時性)の時代。そこで活躍できる学生を育てたい」。GIISはGlobal(国際)、Instant(即時)、Interactive(交流)、Satisfaction(満足)の頭文字だ。
社会は複雑化し、学問分野の境界は曖昧になっていく。「化学でも数学でも、基本的に『人間とは何か』を考える哲学がある。その観点からの自然科学分野は手薄だった」。今後は環境関連などの科目を新設。学生が複合的に幅広く学ぶことで適性と専門分野を見つけ、卒業後は就職や海外の大学院への進学を想定する。併設する大学院の拡充は「将来の課題」という。