村上春樹さん(68)の4年ぶりとなる長編小説「騎士団長殺し」(全2巻、新潮社)が24日、発売された。一部書店では同日午前0時から販売され、東京・神田の三省堂書店神保町本店では待ちかねた客が続々と話題の新刊を購入した。
同店では、通常の営業時間が終わる23日午後8時すぎには準備作業を開始。日付が変わる10秒前からカウントダウンを行い午前0時、タワーのように積み上げられた新作がお披露目された。直後に新作を手にした東京都文京区の会社員、吉岡雄太郎さん(26)は「中学生の頃からの村上さんのファンです。早く読みたいと思って会社帰りに寄りました。久しぶりの新作なので、今度はどんなテーマが織り込まれているのか楽しみです」と語った。
同店で開催される、徹夜で新作を読むイベントに参加するという、東京都港区の大学4年、瀬尾政隆さん(22)は「長編が出ると聞いて楽しみにしていました。村上さんの作品は、文体や言葉の選び方が読んでいて心地良いのが魅力。一刻も早く読み終えたい」と話す。
村上さんの長編小説は「色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年」以来4年ぶり。複数巻にまたがる長編は、平成21~22年に出版された「1Q84」以来で7年ぶりとなる。版元の新潮社は発売前に重版を決め、発行部数は「第1部 顕れるイデア編」が70万部、「第2部 遷ろうメタファー編」が60万部の計130万部に達している。