今やスマートフォンひとつ持っていれば、世界中どこにいてもあらゆる情報が入手できる時代です。しかしインターネット上にあふれている情報は、玉石混交。きちんとした取材の裏づけがあるものもあれば、偏見や欺瞞に満ちたものも多い。情報は正しくつきあえば、あなたの強い味方になります。しかし、つきあい方を間違えると……。では、情報を味方につけるには、どうしたらいいのか。そのきっかけになるような話を、これからしていきます。
「なぜ? と問いかけることで見えてくる真実がある」
池上彰さん
1950年長野県生まれ。慶應義塾大学経済学部卒業後、NHK入局。報道局社会部記者などを経て、94年から11年にわたり『週刊こどもニュース』の解説で人気に。2005年にNHKを退局し、現在はフリージャーナリストとして多方面で活躍中。著書に『そうだったのか! 池上彰の学べるニュース』(海竜社刊)、『情報を活かす力』(PHP刊)、『池上彰の世界の見方 アメリカ』(小学館刊)、『池上彰の世界の見方 中国・香港・台湾』(小学館刊)等がある。
《KEYWORD 情報を集める力》
情報はネットだけで大丈夫! ……本当に大丈夫?
◎インターネットの情報は覗かれている?
まず、インターネットの歴史を簡単におさらいしておきましょう。東西冷戦時代、アメリカはソ連との核戦争の脅威に備えて、軍の機密情報をやりとりするためのネットワークシステムを構築していました。しかし1991年、ソ連が崩壊。不要になったネットワークを民間に開放したのです。これがインターネットの始まりです。
このネットワークシステムは、たとえ中央のコンピューターが破壊されても影響が出ないよう多くのコンピューターをクモの巣のようにつないでいました。インターネットのURLの頭につくWWW(World Wide Web)は、まさに世界に張り巡らせたクモの巣を意味しています。
インターネットの可能性を広げたのは、パーソナルコンピューター(PC)の誕生です。ビル・ゲイツやスティーブ・ジョブズといった天才が出現。それまで専門家にしか扱うことのできなかったコンピューターが、一般の人でも簡単に使えるようになりました。
【用語解説】
ビル・ゲイツ
マイクロソフト社の共同創設者。他社が開発したコンピューターのOSを買い取って改良したMS-DOSをWindowsに進化させる。アップルがOSを自社製品だけの搭載にこだわったのに対し、Windowsはあらゆるメーカーに働きかけ圧倒的なシェアを獲得した。米フォーブス誌の世界長者番付で1994年から2006年まで13年連続世界一となった。
スティーブ・ジョブズ
アップル社共同創設者。マッキントッシュ(Mac)を開発し、COBOLやFortranなどのコンピュータ言語を知らなくても、誰もが自由にコンピューターを動かすことができるようになった。iMac、iPod、iPhoneなど革新的な製品を次々と発表し、カリスマ的な人気を誇った。2011年没。