しかし実際のところ、本当に現地の人が現地のことを何でも知っているかといえば、そうともかぎらない。日本人が日本のことを全て分かっているわけではないのと同じことだ。
自分たちのやり方を押し付けるのも、現地の人の言いなりになるのも失敗のもと。では、どうするのが正しいかといえば、現地の状況をしっかりと分析した上で、自分たちで判断し、ときには日本流、ときには現地流を選択しながら事業を進めていくことだ。自分たちの成功体験から得てきたものをやり通すという側面も重要だし、現地パートナーの意見に耳を傾けて学ぶ姿勢も重要だ。
昔から日本人は「中庸」を重んじ、臨機応変にバランスを取るということを得意としてきた。その本領を海外でも発揮すればいいというわけだ。
多くの日本企業がグローバル展開で失敗した理由は、自己分析を怠ったことにある。自分たちが日本国内で培ってきた成功体験が、現地の市場でどれほど応用できるものかを徹底的に分析し、その結果、応用がきくと分かったならやり通す。現地の人たちが言っていることを情報の一つとして認識し、分析した上で、正しい情報や必要な情報だけを取り入れていく。
分析をしっかり行って正しく判断できれば、2つのパターンのバランスを取って正しい方向に進んでいくことができるのだ。
【プロフィル】森辺一樹
もりべ・かずき 海外販路構築のスペシャリスト。15年以上にわたり1000社以上の海外展開の支援実績を持つ。アジア新興国市場の販路構築が専門。海外市場開拓コンサルタントの第一人者として活躍中。“アジアで売る”ためのノウハウをネットラジオで無料配信中!
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>>森辺氏のツイッターは @kazukimoribe