報告書では「グローバル人材」を「グローバルな環境できちんと仕事ができ、リーダーシップを発揮できる人と定義。人材要件として、
「自ら考え、意見を持ち、それを表明する“自己表現力”」
「異文化を理解し、変化を楽しみ、現地に馴染んでいく“異文化柔軟性”」
「多様な人材と協働し、信頼され、リーダーシップを発揮できる“多様性牽引力”」
--の3つを挙げている。これらも今ひとつよくわからない抽象的な内容である。
■グローバル人材の要件は実は「存在しない」
ところが、調査を進めてみると、共通する人材要件は存在しないことがわかったそうだ。報告書作成に関わった委員の1人はこう語っている。
「人材育成やマネジメント、ガバナンスの仕組みから人材要件などの共通要素を取り出し、他社に役立ててもらおうということで始めたのですが、実はそれがない。人材育成や人事管理の手法にしても会社の数だけある。つまり、全部違うことがわかったのです。結果的に各社の事例を紹介することしかできませんでした」