【書評】『葬られた文部大臣、橋田邦彦 戦前・戦中の隠されてきた真実』

2017.6.10 05:00


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 □高橋琢磨・著

 ■時代に翻弄された人生に焦点

 橋田邦彦という人物をあまりご存じではない読者もおられるだろう。明治初期から昭和20(1945)年までを生きた、一流の科学者であり教育者でもあった。

 本書は橋田が世界的科学者を数多く育て、科学立国日本を拓(ひら)いた男として描きつつ、政治の世界に引き出された背景に言及する。そして、近衛・東條内閣の文部大臣を務めながらも「歴史から消された真相」を暴こうとする。

 時代の描写を重ね合わせ、運命に翻弄された人生を生々しく浮かび上がらせる。

 とりわけ、橋田をめぐる第二次大戦時の「昭和」の記述が、読者を引きつけることだろう。(2052円、WAVE出版)

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