財務省が職員の残業時間を減らすため、上司への事前申告制度を試験導入したことが13日分かった。予算編成や国会対応などに追われて常態化している「ブラック」な勤務実態を透明にし、長時間労働を是正するのが狙い。ただ残業抑制への強制力はなく、効果には疑問符も付きそうだ。
今月5日から、残業が必要な場合は予定時間と理由を上司にあらかじめ伝えることを全職員に義務付けた。1カ月間試した上で、その後も続けるかどうかを判断する。
政府が3月に決めた「働き方改革実行計画」は、工程表で府省ごとに職員の残業予定を事前に把握するよう定めており、同様の取り組みが農林水産省や人事院など一部で先行して始まっている。
財務省の過酷な勤務は中央省庁の中でも有名で、帰宅できずに省内に「泊まり込む」ような多忙さから旧大蔵省時代には「ホテル・オークラ」とやゆされたほど。勤務管理の担当者は「まずは、やれることから始めたい」と話すが、省内からは「申告の作業の分だけ手間が増えた」(中堅)と冷めた声も上がる。