外国語のカタカナ表記をめぐる文化的考察 浮かび上がる書き手の想いや戦略 (1/3ページ)

【安西洋之のローカリゼーションマップ】

 かつて「ジャガーはジャグゥアーって発音するんだ」というセリフが自慢のように流行った。「ジャガーなんてクルマは世界にないんだよ」と。たぶん1970年代後半から80年代のことだ。

 今、グーグルトレンドにジャグゥアーと入れても過去5年の実績に出てこない。正しい発音なんて広まらないものなのか、と思った。というか、ジャガーは動物として出てくるから、クルマのジャガーがネット上で語られることは極めて稀だ、ということになる。

 同じ時期かどうかはっきりと覚えてないが、「ベートーベンはベートーヴェンが正しい」という指摘もその頃にあったような記憶がしたので、これもグーグルトレンドに入れてみた。するとこちらはベートーヴェンの表記の方が多い。どうもクラシック音楽のファンは原語に忠実であろうとしたようだ。

 イタリア語はどうだろうと「ヴェネツィア」と「ベネチア」を調べると、「ベネチア」の方が上まわっている。観光情報は圧倒的に日本化されていることになる。

 最近、ミラノ工科大学教授・ロベルト・ベルガンティの『突破するデザイン』を監訳するにあたり、外国語表記をどうカタカナにするかずいぶんと迷った。それであらためて思ったことがある。

 ベルガンティも本当はヴェルガンティだが、既にベルガンティの表記で前著が出版されている以上、あえて歯向かわなくてもいいと考えた。ただ、それだけではなく、原語の発音に忠実過ぎるのは少々古臭く見えるのではないか、という気がした。

「ヴィンテージ」か「ビンテージ」か

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