高齢化が進む静岡県営住宅原団地(同県沼津市大塚)で、コンビニエンスストア大手のセブン-イレブン・ジャパンによる移動販売が始まった。全国に41台しかない同社の移動販売車を導入し、“買い物弱者”の高齢者を支援する試みだ。初日には販売開始の30分以上前から団地に住む高齢者が行列を作るなど反響も大きく、同社では社会貢献の一環として他の地域にもサービスを拡大していく考えだ。(田中万紀、写真も)
昭和40~50年代に相次いで建設された県営住宅の大半にはエレベーターがなく、高齢者にとっては買い物どころか1階に降りることも一苦労だ。また、大型団地は敷地が広く、外に出るまで徒歩で10分以上かかることもある。
県営住宅全体では、10年前には18・2%だった65歳以上の高齢者のみの世帯が、今年4月には34・6%まで増加。原団地ではさらに高齢化が進んでおり、入居513戸のうち高齢者世帯は41・3%で、高齢者の1人暮らし世帯も26・5%に上る。5階建てだが、エレベーターは19棟のうち2棟にしかなく、高齢者の大半は日々の食料品や日用品の買い出しにすら苦労する“買い物弱者”だ。
こういった現状を踏まえて、団地自治会が昨年2月、県営住宅を管理する県住宅公社に対策を要望。セブン-イレブン・ジャパンが移動販売車の導入を提案し、1年半の時間をかけてようやく実現した。