【書評】大阪商業大アミューズメント産業研究所主任研究員・古作登が読む『人工知能はどのようにして「名人」を超えたのか?』山本一成著 人間の生きる道を示す (1/2ページ)

『人工知能はどのようにして「名人」を超えたのか?』山本一成著
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 将棋ソフトとプロ棋士が戦う「電王戦」は今年5月、二番勝負でPonanzaが完璧な内容で佐藤天彦名人に連勝し幕を閉じた。同月、囲碁でもアルファ碁が世界トップの柯潔九段(中国)に3連勝し、対局の場から“引退”した。20年ほど前、第一人者超えは当分無理と考えられていた知的遊戯の分野で、AI(人工知能)はわれわれの理解をはるかに超える進歩で抜き去った。

 事象の意味を定義し、探求する人間の思考法に限界が表れた-と著者は新時代到来を宣言する。コンピューターが人間の指す手を読む仕組みや「探索」と「評価」で強くなった経過、機械学習、ディープラーニングなどキーワードを中高生にも理解できる表現で解説しており、AI入門書として読むこともできよう。

 人間がアマ初段になるのは比較的容易でも、五段に進むには時間がかかる。プロレベルでは難易度は飛躍的に高くなり、タイトル戦に出場するトップ級に上り詰めるには、極めて長い期間を要する。

 だがソフトは4年前、現役棋士に初めて勝って以降、毎年古いプログラムに7割以上勝つ進化が止まらない。ソフトの成長は常識では測れない急激な上達曲線を描く。10年前はプロの棋譜から学んでいたコンピューターが次第に手本を離れ、ソフト同士の自己対戦で新たな価値観を身につけた。現在では、連勝記録を作った藤井聡太四段がそうであるように、棋士がソフトに学ぶ。立場が逆転したのだ。

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