大分県日田市で22、23の両日、伝統行事「日田祇園祭」が開かれる。今月初めの記録的豪雨から2週間。市内は甚大な被害を受け、亡くなった関係者もいる。「自粛」の声も上がるが、祇園祭は疫病や風水害を払い、安泰を祈る神事。関係者は「こんなときだからこそ、いつも通りにやろう」と、準備に力を入れる。(高瀬真由子)
祭どころではないが…
江戸時代の街並みが残る観光地・豆田町。猛暑日となった16日、汗をぬぐいながら山(やま)鉾(ぼこ)に人形を乗せる男たちがいた。
「今年は、みんな出てくるわけにはいかん。なんとか、本番に間に合えばいいが」。豆田下町山鉾振興会の波多野平会長(71)は厳しい表情で、作業にあたった。
豆田下町は花月川の氾濫で、85戸のうち60戸が床上浸水などの被害を受けた。被災した住民は、片付けに追われる。波多野氏も経営する店舗が浸水し、再開できていない。
波多野氏は「くたびれるし、少し休みたいという気持ちもある。でも、大変な中、祭りに多くの人が寄り合い、頑張ってくれる。励みになる」と話した。