猛暑といわれる2017年の夏。大井川鐵道による「きかんしゃトーマス号」の特別列車の運行日も、強烈な日差しが容赦なく照りつけていた。冷房のついていない旧式の客車にも熱はこもるが、そんな中大きなシャベルで重たい石炭をすくい、石炭炉にくべる機関士のみなさんの苦労といったらない。釜のフタを開け閉めするたび、遠目に見守るこちらにも熱風が吹き付ける。
古い車両を動態保存しているゆえ、安全を確保するためにこまめな点検は欠かせないそうで、乗客がアイスクリームを食べたり記念撮影をしたりしている間も、機関士や整備士は列車に登ったり線路に降り立ったり、休むことがない。
そんな中でも笑顔で子どもたちを運転台に招き入れたり、記念撮影に応じたりしているスタッフのみなさんには頭が下がるが、そんな機関士のひとりが中山和也さんだ。中山さんいわく、本日はトーマス号とジェームス号は重連しているが、実はトーマスとジェームスには、大きな違いがあるという。てっきり「トーマスはがんばりやの働き者で、ジェームスはうぬぼれやでちょっと意地悪」といったキャラクターかと思いきや、そうではなく、SLとしてそれぞれ個性があるという。