大ベストセラー「嫌われる勇気」に広がる誤解 リーダーこそ間違いやすい解釈 (2/5ページ)

『アドラーをじっくり読む』岸見一郎著中公新書ラクレ
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 リーダーこそ間違いやすい

 さて、冒頭に述べた「共同体への貢献」という観点で話を進めましょう。アドラーのいう「共同体」とは、どこかの会社、学校やチームなど、ただ一つの具体的な共同体に限定されるものではありません。これはアドラー理解のための重要なポイントです。さしあたって、自分が属する家族、学校、職場、社会、国家、人類であり、過去・現在・未来のすべての人類、さらには生きているものも生きていないものも含めたこの宇宙の全体を指しています。

 しかしながら、現在、経営者をはじめ組織のリーダーが説明する「貢献感」は以下のようなものになってはいないでしょうか。

 自身の経営する会社、運営する組織といった固有の「共同体」へ「貢献」する気持ちを持つことが、従業員や部下を幸せへと導く--。

 貢献感を持つことは大切ですが、リーダーがこのように考えることは危険なことがあります。なぜこのようなことを言うか、説明しましょう。

 アドラー心理学は「使用の心理学」といわれることがあるのですが、その意味を誤解している人がいます。この「使用」とは、「アドラー心理学を使う」という意味ではありません。アドラー心理学の教えはシンプルですが、それが教える技法を使うと、他者がみるみる変わることを知った人が、アドラー心理学が「使える」ことに驚くのです。

 しかし、「使用の心理学」というのはそういう意味ではありません。大切なことは何が与えられたかではなく、与えられたものをどう「使う」かだということであり、人は誰でも自分の生を選びうるという意味なのです。

 そもそも人を操作するために、アドラー心理学を使えると考えることは、正しい理解とはとても言えないのです。ですから、リーダーが共同体への貢献を語る時、従業員や部下を貢献させようとしていないかに注意しなければなりません。

 共同体とは「理想」のもの

 「共同体」、そして「共同体感覚」こそ、自分が環境をどう捉えるかで幸福になれるかどうかが決まるという、アドラー心理学の大切な概念です。先述しましたが、共同体とは、具体的なある一つの共同体ではないのです。あらゆる意味で垣根を越えた「理想」の共同体であり、一つの組織ではなく、もっと大きな共同体に所属していると感じていることが、「共同体感覚」ということです。

貢献感は他者から強いられたものであってはいけない

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