困難な仕事は男性部下にまかせる… 管理職の本音は「女性部下はやりづらい」 (5/5ページ)

 男性管理職は女性部下の「考え方が理解できない」

 一方、筆者が過去に実施した男性管理職のグループインタビューでは、多くの男性管理職が、自分の女性部下への育成や接し方に関する具体的な悩みを持っていることがわかっています。

 性別が異なるがゆえに、「考え方などが理解できない」といったコミュニケーションそのものへの難しさがあるのだと感じます。ただし、グループインタビューを進めていくと、同じような悩みを持つ男性管理職同士で意見交換が始まり、共感や学びを得ることで、男性管理職自身が今後の進むべき方向性や解決策を自分なりに発見する場に出くわします。

 企業側も男性管理職の意識啓発に向けて、さまざまな研修機会を提供していますが、女性部下とのコミュニケーションの質を改善していくためには、社内外を問わず、男性管理職同士で意見交換をする場を提供していくことも有効だと考えます。

 女性部下の育成で自分の負担は楽になる

 最後に。

 女性の活躍推進に取り組む企業が増えたことで、「女性部下を新たに持つ男性管理職」や「女性部下が増えたことによる戸惑いを持つ男性管理職」も少なくないと感じます。そうしたプロセスの中で上司部下間の葛藤や軋轢も生まれるでしょう。

 しかし長い目で見れば、女性部下の育成は、管理職(自分)の負担を楽にし、管理職がより付加価値の高い仕事に集中できる環境を作ることにもつながります。女性部下を育成できる管理職にいち早くなれることも、管理職自身の強みになるのではないでしょうか。

 (日本総合研究所 創発戦略センター ESGアナリスト 小島 明子、日本総合研究所 リサーチ・コンサルティング部門 マネジャー 榎本 久代)(PRESIDENT Online)