【広角レンズ】「室町本」に熱視線 現代に重なる!?中世史が面白い (3/3ページ)

『応仁の乱』や『観応の擾乱』など“室町本”を店頭に積む書店も=東京都千代田区の三省堂書店神保町本店
『応仁の乱』や『観応の擾乱』など“室町本”を店頭に積む書店も=東京都千代田区の三省堂書店神保町本店【拡大】

 担当した講談社の横山建城さんによると、構想は約20年前にさかのぼり、初稿は昨年に完成。「『応仁の乱』の便乗企画では全くないが、この時期の出版にこぎつけた背景に同書の影響があったのは確か」(横山さん)。峰岸さんは「関東を無視して応仁の乱は語れない。戦国時代の始まりは応仁の乱、という“国民的常識”を覆したい」とねらいを明かす。

 ◆歴史小説パス?

 ヒットした室町本に共通するのは、教科書クラスの大きな事件を扱いながら、今まで一般向きの手頃な本が見当たらなかった点だ。

 「源平期と戦国時代は人気だが、その間の室町時代についてはよく知られておらず、知りたいという潜在的ニーズは大きかった」と語るのは、作家の伊東潤さん。観応の擾乱の中心人物の一人で、室町幕府初代執事の高(こうの)師直(もろなお)を主人公にした小説『野望の憑依者(よりまし)』(徳間時代小説文庫)を7月に刊行した。

 「いま一般の人が歴史への興味を満たす場合、歴史小説をパスして歴史新書に向かっている」と、歴史小説が担っていた需要を新書が吸収した結果だと読み解く。そうした悩ましい面もあるが、「一連の室町本のヒットで、小説の題材選びの範囲がいわゆる売れ筋以外に広がった。歴史作家としては非常に勇気づけられている」。『応仁の乱』を起爆剤にした室町本ブームは、他ジャンルにも波及してしばらく続きそうだ。

産経デジタルサービス

IGN JAPAN

世界最大級のビデオゲームメディア「IGN」の日本版がついに登場!もっとゲームを楽しめる情報をお届けします。

産経オンライン英会話

90%以上の受講生が継続。ISO認証取得で安心品質のマンツーマン英会話が毎日受講できて月5980円!《体験2回無料》

サイクリスト

ツール・ド・フランスから自転車通勤、ロードバイク試乗記まで、サイクリングのあらゆる楽しみを届けます。

ソナエ

「ソナエ 安心のお墓探し」では、厳選されたお墓情報を紹介! 相続、葬儀、介護などのニュースもお届けします。