【論風】将来不安解消の経済学改革 消費を動かす政府代替貯蓄 (1/3ページ)

 □上智大学教授・大和田滝惠

 経済が長年停滞し、回復力が弱い最大の原因は、人々が将来不安からおカネを使わず、個人消費が盛り上がらないからだ。将来不安の中身は2つ。収入が増えていく見通しが立たないことと、社会保障への不安である。

 1つ目の収入では、経済回復には賃上げが鍵を握るとよく言われるが、賃上げの鍵は金額と継続性だろう。勤労者の大半を占める中小企業従業員や非正規労働者は微々たる賃上げであり、今後も続くかどうか分からない。企業に内部留保を取り崩させ、賃上げを先行させることで経済の好循環が作り出せると主張する識者もいるが、まず消費が増えないと収益の先行き不安があるため持続的な賃上げはできない。

 2つ目の社会保障では、特に公的年金の先細りが予想され、老後に備えて若い時から消費を手控えて貯蓄をする人たちが増えている。少子高齢化でも安心できる持続可能で実現性のある社会保障の将来像を打ち出し、若い時から消費を控えるほどの貯蓄を自らしなくてもよいというシグナルを国民に示していく責任が政府にはある。それほど貯蓄の必要がなくなれば収入はもっと自由に消費に回せる。

米欧でも同様の現象