【論風】将来不安解消の経済学改革 消費を動かす政府代替貯蓄 (2/3ページ)

 米欧でも同様の現象

 経済回復が緩慢で、賃金の上昇につながっていないのは、日米欧に似通った現象となっている。元米財務長官のローレンス・サマーズ氏が長期停滞論で指摘したように米欧でも人々は将来が不確実なことの不安から貯蓄を過剰にしたがり、消費を手控えている。世界的に金利が下げられていき、人々は貯蓄をしないはずだと考えられたが、それでも貯蓄は増えて消費が低調なことも、金融政策の限界を表している。

 大幅な量的緩和を実施しても景気がぐーんと持ち上がらないのは、人々も企業も将来不安を拭えないというのが最も大きい。財政出動も繰り返され、減税や給付は必要ではあっても、将来不安の中では効果は限定的であった。金融や財政で景気を刺激する経済学の処方箋は通用しなくなってきた。成長戦略も成否が確かでなく、効果があっても経済回復までには時間がかかる。

 おカネを使ってもらうには

 低迷した経済をどう抜け出したらいいのか、現行経済学に正解がなく、よりどころとなる対策が出てこない。今、一番やるべきことは、将来不安はどうしたら取り除けるのかに的を絞ることだ。ここを解決しないと、どんな政策をやっても効き目は薄い。賃上げの継続は困難だし、現行年金の拡大や最低年金の創設など社会保障改革は難しい。現状、人々の将来不安を解消する方法は見当たらない。政治家も識者も現金をただ給付することと、そのための財源として税を取ることしか考えていない。もっと構想力をもって制度から何かを新たに生み出すことを考える発想に転換しなければならない。

使われていないおカネ、さてどう使ってもらうか