使う相手との関係性やタイミングを間違えると、イメージダウンになってしまうリスクはある。しかし、うまく使いこなすことができれば周囲から一目置かれる存在になるかもしれない。どんなシーンであれば、「賢語」が効果的なのか。
「初対面のときの交渉にさりげなく取り入れると、社長クラスには大人の語彙(ごい)力があると高評価され、効果テキメン、有効カードになるでしょう。また、仕事や会議、ミーティングのシーンには適切だと思いますが、同年代との飲み会、食事会、ランチなどでは避けたほうが無難です」(唐沢さん)
それでは唐沢さんがプレジデントオンラインの読者に勧める9つの「賢語」をご紹介しよう。
(1)仕事や商品を紹介するとき
弊社のプランをご高覧(こうらん)ください。
「自分の作ったものほかの人に紹介するときに使う言葉で、謙譲語の一つ。“ご覧ください”より丁寧な印象になります。ビジネスにおいては『ご高覧』、親しい友人などには『ご笑覧』と使い分けられるとベターです」
(2)目上の人にほめられたとき
そこまで評価していただき、面映(おもは)ゆい気持ちでいっぱいです。
「恥ずかしいことや照れている気持ちを伝える言葉。『面映ゆい』の『面』は顔、『映』は光が反射して輝く意味を表します。自分の顔が光り輝くほど照らされているのではないかと思うほど、顔が温かく感じるということの例えです」
(3)気にしないでほしいと伝えるとき
その件は、ご放念(ほうねん)くださいませ。
「『放念』の『念』は思いなので、思いを放つということから“心にかけない”“気にしないでください”という意味になります。日常生活ではあまり使わない言葉ですが、ビジネスシーンでは時折使います。誰も傷つけることのない、とても有益かつ重宝する言葉です」
(4)お酒が飲めないことをソフトに断るとき
不調法(ぶちょうほう)なもので、申し訳ございません。
「『不調法』は目上の人や取引先との飲み会や接待の席だけでなく、引き受けることができない仕事や頼まれごとを断るときにも使える言葉です。“結構です”“お酒が苦手です”などのストレートなフレーズは避け、マイルドに断ると好印象です」