【Luxeな日本~地元発】渓流上空 「飛ぶ団子」に歓声 藤村由紀子

藤村由紀子
藤村由紀子【拡大】

  • 渓流の上空を籠に乗って飛んでやってくる団子
  • 笑顔が優しい郭公屋4代目店主の千葉晴夫さん
  • かっこうだんごは3本で400円。お茶付き
  • かっこうだんごの入った籠ひき体験をして満足そうな仙台市から来た小学生
  • かっこうだんごの乗った籠ひき体験をした小学生

 岩手県南部の磐井川中流に位置する厳美渓(げんびけい)。巨岩、奇岩に瀑布、美しい淵など表情豊かな自然が楽しめる渓谷に、ひときわ明るい声が響く場所がある。渓流の上空を団子が飛ぶのだ。

 飛んでいるのは創業1905年、郭公屋(かっこうや)の「かっこうだんご」。店の対岸にある東屋で客がロープに下がった籠に代金400円を入れ、木槌で板をたたけば、あっという間に籠が店に引きあげられる。やがてもちもちした食感と上品な甘さが魅力のみたらし、ごま、あんこの3本セットの団子と茶が入った籠が飛んでくる。ロープは手動で約70メートルを14秒で移動する。速い。茶は一滴もこぼれていない。

 モニター画面で東屋の様子を見て茶の数を決め、子供には水を出す。店には世界各国の国歌がそろい、4代目店主の千葉晴夫さんは、海外からの客にはその国の国歌を流すという。ロープを引く体験もできる。代金を「空輸」した仙台市の後岡駿太郎君は「緊張したけど、やりがいがあった」と満足そう。

 籠を使った店主と客の手紙のやりとりもある。こまやかな配慮と人情。空飛ぶ団子のきっかけは諸説あるものの、千葉さんによると、本当はよくわからないらしい。とはいえ、今や「かっこうだんご」が厳美渓の名物であることには変わりない。

 【luxe(リュクス)】 フランス語で元の意味は「贅沢」。最近は優雅で上品でありながら、洗練された贅沢なもの・ことなどの意味で使われる。

<プロフィル>

 ふじむら・ゆきこ 宮城テレビ出身。現在、国際会議などの日英司会やナレーション、通訳などを行うバイリンガルアナウンサーとして活動中。

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