【聞きたい。】3万冊処分…本の行方案じ、嘆く 紀田順一郎さん『蔵書一代』 (2/2ページ)

横浜生まれの作家、紀田順一郎氏は幼少の頃からよく利用した有隣堂で自著「蔵書一代」を手に取った有隣堂センター南店(横浜市都筑区
横浜生まれの作家、紀田順一郎氏は幼少の頃からよく利用した有隣堂で自著「蔵書一代」を手に取った有隣堂センター南店(横浜市都筑区【拡大】

  • 『蔵書一代』(紀田順一郎著、松籟社)

 ワープロソフトの辞書監修に長く携わった。いまも自身のブログで書評を発信するなど、年齢のわりに機器の扱いはお手のもので、電子書籍の利点も認める。それでも「集めた本は人生の経歴書。古本はかび臭いといわれるけど、その時代の空気が本の中に閉じ込められているんだよ」と実物としての書籍にこだわる。

 気になる古書は、パソコンで購入することもしばしば。「女房には“いい加減にしてください”って怒られているのにね」。蔵書は増える。(松籟社・1800円+税)(伊藤洋一)

                   

【プロフィル】紀田順一郎

 きだ・じゅんいちろう 昭和10年、神奈川県生まれ。慶応大卒業後、商社勤務をへて評論、作家活動に。「東京の下層社会」「幻想と怪奇の時代」など。