「果物が動脈硬化のリスクを低減」改訂動脈硬化性疾患予防ガイドラインで推奨 (3/3ページ)

国内外の研究や解析結果の蓄積から、果物の健康効果の見直しが進んでいる。気軽に旬の味を楽しみたい=東京都練馬区のスーパー「いなげや下石神井店」
国内外の研究や解析結果の蓄積から、果物の健康効果の見直しが進んでいる。気軽に旬の味を楽しみたい=東京都練馬区のスーパー「いなげや下石神井店」【拡大】

  • 小久保喜弘医長
  • 林芙美(女子栄養大学栄養学部准教授)

 1日200グラムが必要

 では、どれくらいの果物を食べればいいのか。

 厚生労働省の食事バランスガイドでは、活動量「ふつう」の成人女性と「低い」成人男性の場合、1日に必要な果物は、1つ(100グラム)を単位として2つ(200グラム)。ミカン2個、リンゴ1個、ナシ1個、ブドウ1房、キウイ2個程度。英研究機関の解析では、1日200グラムで、冠動脈疾患リスクが10%、脳卒中リスクが18%、全がんリスクが4%低くなったという。

 女子栄養大学栄養学部の林芙美准教授は「栄養指導に使ってきた200グラムという数字が、適量と裏付けされるようになってきた」と分析する。果物の摂取は心血管疾患などの予防に推奨される一方、ガイドラインは、果糖ぶどう糖液糖などを使った加工食品のとりすぎは肥満につながるとし、生鮮果物と混同しないよう呼びかけている。

 林准教授は「皮をむくのが面倒という理由で敬遠する人も多いが、切ってスプーンですくってすぐに食べられるキウイや皮ごと食べられるブドウなど手軽な果物も多い。旬の果物を甘いもの代わりにしたり、お土産にしてもいいのでは。果物を見直してほしい」と話している

果実食べない理由「太る」

 厚生労働省の国民健康・栄養調査では、1人あたりの果実摂取量は1日112グラム(平成25年)。10年前に比べると全世代で減少、最も少ない30~39歳で60グラムだった。生鮮果実を毎日とらない理由は「日持ちせず買い置きできない」「値段が高い」などに続き、「太る」が挙げられた。