デリヘルに“素人専門”が増える意外な理由 体当たりの「内偵」で暴く (4/6ページ)

 きわめつけは、探偵かと見まがうほどの「張り込み」である。デリヘルの入るマンションの向かいの部屋を借りて、ビデオカメラをマンションの玄関へ向けて設置する。デリヘルは、たいてい送り迎えにクルマを使うので、そこで乗り降りする女性は出勤している嬢と考えて間違いないだろう。都心の繁華街では、嬢は歩きで客のもとへ向かうことも多いので、その場合は追尾する。このようにして、嬢の出勤だけではなく、サービスが提供される状況を記録しておくのだ。

 数日後、私たちは再度「無予告」でプリンセスクラブに無予告調査をした。前回「今後もきちんとリスト表に記録をお願いいたします」と言い残したことには意味がある。店長は「どうせバレないだろう」と前回同様に偽造したリスト表を提出することになる。なぜなら、調査後に正しく売上を記録すると、減らしてごまかしていた分の売上が急増することになり、明らかに不自然だからだ。正しい記録をやろうとしてもできないのだ。

 この数日で「内観調査」や「張り込み」を行い、執拗に記録を取り続けていた。その正確な数字が、手書きで偽造された紙のリスト表と大きく異なっていたのは言うまでもない。再臨場調査では、数取りデータと偽造されたリスト表の開差をもとに、プリンセスクラブは当局により厳しく追及されることになった。

 「現金商売」の脱税金額は大きい

 国税庁は毎年、「事業所得を有する者の1件当たりの申告漏れ所得金額が高額な上位10業種」という報道発表を行っている。

 これはつまり、法人ではなく個人経営の店舗のことだ。1件当たりの申告漏れ所得金額がダントツで多いのは「キャバレー」「風俗業」で、平均で2000万円を超える申告漏れを指摘されている。風営法の関係で、デリヘルは「許認可」ではなく「届出制」のため、個人経営が多いのだろう。キャバレーはクラブ・バーのことであり前回(「敏腕部長を破滅させた”黒革の手帖”の中身」)ご紹介した通りだ。

デリヘルなどの風俗業はワキが甘いのか…