「頭皮がかぶれた、治療代をよこせ」 介護スタッフが頭を悩ます高齢者クレーマー (2/5ページ)

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 ▼「介護利用者の1割は困難事例です」

 Mさんは言います。

 「ケアマネは例外なく困難事例を体験していますが、実際に担当することが多いのは男性ケアマネですね。精神的にキツいケースや身に危険が及ぶケースもあって、女性ケアマネがそういう利用者さんに当たってしまった場合、急遽、男性ケアマネが代わって担当することが多いからです。どこからが困難事例か、という線引きは難しいので統計などはないと思いますが、私の経験では担当する利用者さんの1割ほどが困難事例です」

 ひとりのケアマネージャーが担当するのは30件ほどですから、平均すると3件くらいの困難事例を抱えていることになります。「ここからが困難事例の利用者」という線引きは難しいということですが……。

 「困難事例には、要介護者ご本人に問題がある場合と、介護をする家族に問題がある場合があります。その両方に共通するケースで一番多いのは、サービス提供者に対するクレームですね」(Mさん)

 「水道代を補填しろ」「かぶれた頭皮の治療代をよこせ」

 たとえば、どんなクレームなのでしょうか。

 「訪問介護のヘルパーさんの対応や言葉づかいなどにちょっとでも気に食わないことあると怒鳴りつけ、ヘルパーさんを精神的に追い詰めるんです。連絡を受けて駆け付けたケアマネに対しても同じクレームを言い続け、事業所には『担当を変えろ』と言う。そういう“結果”を引き出すことが快感なのか、『オレはヘルパーとケアマネを十何人辞めさせた』と自慢げに話す利用者さんがいました。そんなことをしても、介護サービスが滞るだけで良いことは何もないんですけどね」(Mさん)

家族が介護サービスを妨げることも