【著者は語る】トランプの絶叫は断末魔の悲鳴 京大名誉教授・中西氏「アメリカ帝国衰亡論・序説」 (1/2ページ)

中西輝政氏
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  • 中西輝政氏「アメリカ帝国衰亡論・序説」

 ■トランプの絶叫は断末魔の悲鳴

 2016年11月に米大統領選を制したトランプは、公約通りアメリカ・ファーストの内向き政策を次々実行し始め、北朝鮮のミサイル発射実験にも攻撃できない状況です。

 20世紀の覇権国アメリカも英国と同様、衰退のスパイラルに入っている、と機会あるごとに発言してきましたが、今こそ「覇権国アメリカの終わりの始まり」であると、本書を書き始めたのです。

 アメリカは、ウィルキンソン大統領の掲げた建国の理想「自由主義」に始まり、1920年代からの「孤立主義」(ヨーロッパの争いには関与しない)を経て、太平洋戦争に参戦。以後、世界の覇権争いの先頭に立ち、60年代をピークに20世紀末まで未曽有の繁栄を遂げてきました。

 しかし、91年の湾岸戦争を境に一極大国<パクス・アメリカーナ>に終わりが見えてきました。この時、アメリカはかじ取りに3つの過ちを犯しました。まず、湾岸戦争でイスラム過激派の「反米反欧」が激しさを増し、テロが蔓延(まんえん)したこと。次に、ロシア・プーチン政権の増長を抑えきれなかったこと。そして、中国を軍事覇権国家にしてしまったこと。

 これらの失敗こそ、アメリカの末路を示唆する兆候。仮にヒラリーが大統領だったとしても、歴史の流れは変わりません。古代ローマ帝国に範を取るまでもなく、多国籍文化社会は国家として滅びるリスクが高いのです。

アメリカの「終わりの始まり」