【書評】『英語の品格』ロッシェル・カップ、大野和基共著 日本人英語の「常識」はウソだらけ 品格のある「本物の英語」を学ぶ一冊 (2/2ページ)

『英語の品格』ロッシェル・カップ、大野和基共著
『英語の品格』ロッシェル・カップ、大野和基共著【拡大】

 また「英語が大雑把」であると勘違いしている日本人が多いが、それは母語である日本語と同じレベルで微妙な表現ができないだけであって、実際は英語の小説を読んだらわかるように、これ以上微妙な表現はないと思えるほど微妙で複雑なことが言える言語である。だからこそ国際語として通用するのである。もし大雑把なことしか言えない言語であれば、国際語になる資格はなり得なかっただろう。

 さらに英語は日本人にとって外国語だから、少々の無礼さは大目に見てくれるだろうと考えない方がいいということだ。「大目に見る」というのは英語で”Give someone the benefit of the doubt.”と言うが、特にアメリカではbenefit of the doubt(疑わしい点を好意的に解釈すること)をしてくれない傾向が顕著である。彼らは日本語の発想も知らないし、日本人にとって英語の発音がどれほど難しいかも知らないので、その人が話す英語が教養レベルの判断材料になる。

 大野はアメリカ人の友人に「なぜ日本人の英語はcurtなのか」と何年も前から言われていたという。curtというのは「ぶっきらぼうで無礼」という意味で、とにかく話す英語が短すぎると言われていたという。共著者のロッシェルも英語が原因でネイティヴに否定的な感情を引き起こして損をしているケースをたくさんみてきた。大野は日本語が母語で英語が第2言語、カップは英語が母語で日本語が第2言語、どちらもバイリンガルである。

 その二人が上記のことについて議論を数え切れないほど重ねて完成したのがこの本である。品格のある英語はいかなる状況でも使える。特に外国人はぶっきらぼうな英語よりも、丁寧な言葉を使った方が、相手にはるかによい印象を与えることができる。そういう意味で同書を契機として常日頃から丁寧な表現を心がけるだけで人間関係も変わってくるだろう。(インターナショナル新書・700円+税)

【プロフィル】

ロッシェル・カップ

経営コンサルタント。1964年、米ニューヨーク州生まれ。イェール大学歴史学部卒業。シカゴ大学経営大学院修了(MBA)。安田信託銀行東京本社などに勤務後、グローバル人材育成を支援するジャパン・インターカルチュラル・コンサルティング社を設立し、社長を務める。『反省しないアメリカ人をあつかう方法34』(アルク)、『製造現場の英語表現』(ジャパンタイムズ)、『日本企業がシリコンバレーのスピードを身につける方法』(共著/クロスメディアパブリッシング)など多数の著書がある。朝日新聞GLOBEで連載も行う。

大野和基

国際ジャーナリスト。1955年、兵庫県生まれ。東京外国語大学英米語学科卒業。コーネル大学で化学、ニューヨーク医科大学で基礎医学を学ぶ。医療問題から経済まで幅広い分野に関して世界中で取材を行う。『代理出産-生殖ビジネスと命の尊厳』(集英社新書)、『マイケル・ジャクソン死の真相』(双葉社)などの著書、『そして日本経済が世界の希望になる』(ポール・クルーグマン/PHP新書)などの訳書がある。