ときには「お墨付き」から離れる選択を 原産地呼称について考えたこと (1/3ページ)

【安西洋之のローカリゼーションマップ】

 イタリアの食分野に強いジャーナリストと話していて、次のようなセリフが印象に残った。

 「原産地呼称を消費者視点でみると、生産地域の人のためではなく、遠距離にいる人のための制度なのです。ただ、その商品のことをよく知っているファンのコミュニティがそれなりにある場合、距離が遠くても原産地呼称は不要です。ですから今の世の中の全てが原産地呼称に目を向けている、と言い切るのも違うのです」

 イタリアのワインであればDOCG(統制保証付原産地呼称)やDOC(統制原産地呼称)という名称、あるいはフランスのシャンパンなども原産地呼称にあたる。また食品だけでなく、ヴェネツィアのムラーノ島の手作業で作られたガラス製品を機械で生産された大量のコピー商品から保護するシステムもある。

 品質やブランドを保証するためだが、ローカル経済の自立のためにこうした制度が貢献すると考えられ、公的機関(EUや各国政府の省庁)へのロビー活動は勢いを増すばかりのようにみえる。

 作り手の立場が守られることは良い。また適正価格を高レベルで維持できるにも好都合だ。しかし、そうした商品を地元の人が好んで買うわけではなく、「そういうレベルが付いていない、安くて質の良いモノは沢山ある」と競合商品を買う傾向がある。

 そしてその土地に観光で遠くから来た新参者には原産地呼称のモノを売り、ローカルに馴染んできたリピーターには「実はね、これ、あのブランド品と同じ中身なんだよ」とお得感をアピールする。

 するとリピーターはローカルの人になったような気になり満足する。

「好きこそものの上手なれ」