大阪大、新たな人工心臓治療に成功 耳から電気ケーブル通し「半年ぶりに入浴」の声

耳の後ろから電気ケーブルを出すタイプの「補助人工心臓」を埋め込む治療を受けた男性患者。左は大阪大の澤芳樹教授=30日午後、大阪府吹田市
耳の後ろから電気ケーブルを出すタイプの「補助人工心臓」を埋め込む治療を受けた男性患者。左は大阪大の澤芳樹教授=30日午後、大阪府吹田市【拡大】

 耳の後ろから電気ケーブルを出すタイプの「補助人工心臓」を埋め込む治療に国内で初めて成功したと、大阪大の澤芳樹教授(心臓血管外科)のチームが30日、発表した。手術は5月、医学的理由から心臓移植を受けられない末期心不全の男性患者(60)に実施され、男性は30日退院した。

 国内で承認されている腹部からケーブルを出す手法と比べ、感染症のリスクが低く、風呂やプールにも入りやすいため生活の質の向上が期待できる。

 男性は記者会見に同席し「半年ぶりに入浴できるなど回復し、自分のことは自分でできるのがうれしい。家族にも見てほしい」と涙を流して喜びを語った。

 チームによると、この補助人工心臓は小型の血流ポンプを心臓に装着。耳の後ろから出したケーブルを通じて体外の装置から電気を送り、ポンプを動かすなどして心臓の働きを助ける。

 男性は3月に症状が悪化。今回の補助人工心臓は海外では既に使われているが、国内では未承認のため、男性は、保険診療と併せて使える国の「患者申し出療養制度」を利用した。

 澤教授は「できるだけ多くの人に治療に使えるよう、仕組みづくりをしていきたい」と話した。