政府や地方自治体が抱えるさまざまなデータを幅広く民間に公開する「オープンデータ」。新たな産業の創出など社会経済の発展への寄与が期待されている。静岡市は、市が管理する道路の災害・規制などのデータを、民間が幅広く利用しているプログラム仕様であるAPI(アプリケーション・プログラミング・インターフェース)に転換して情報を公開する取り組みを始めた。
道路規制情報をリアルタイムで公開
政令指定都市である静岡市は、市道だけでなく主要国道の1号、52号を除いた国道、県道も管理している。全国の市では5番目に面積が広く、管理する道路の総距離は3182キロにものぼる。トンネル、橋、掘り下げ式の立体交差道路であるアンダーパス、1万を超す道路照明灯など実に幅広い道路関連のデータを管理しているが、2016年9月からAPIと呼ばれるインターネット上のプログラム仕様に落とし込み、民間に提供するサービス「しずみちinfo(インフォ)」の運用をスタートさせた。
「3年前から市のホームページで、市が管理する道路の規制情報を『しずみちinfo』を公開していましたが、なかなか利用が広がりませんでした。APIにデータを落とし込むことで、ナビゲーションなどのシステムやアプリなどに幅広く利用してほしかったのです」と静岡市建設局道路部道路保全課の新庄大輔副主幹は語る。
APIはソフトウエア上の機能やデータを外部のプログラムから呼び出して利用する際の手順などを示した仕様で、ネット上のさまざまなアプリなどに標準的に利用されている。一方、一般的に地方自治体が公開しているデータの多くは、エクセルやPDFなどのファイル形式で提供されているケースが多い。しかし、こうしたファイル形式は閲覧するだけならいいのだか、データを活用してアプリケーションなどを開発しようとしても使い勝手が悪かった。APIにすることで、より民間が利用しやすい環境を整えることにしたのだ。